COLUMN弁護士コラム

2014.09.04

「27年前の民事裁判の実務修習について」

私の実務修習時は、仙台でした。
実務修習の最後が民事裁判で
仙台地方裁判所第二民事部に配属になりました。
第二民事部の部長は、判事と検事の交流で
検事から裁判官になった人でした。
その部長判事は、訴状を読んで結論が出るという
噂の人でした。

 

ある時、具体的事情は忘れたが、借用書に基づく
請求が認められるか否かの起案を命じられたことがありました。
私は、借用書通りの請求を認める判決を作成しました。
ところが、その部長は私の作成した判決を見て、
「この借用書は、本気で書いたものではないから
請求は認められない。」と話しました。
私は、とても戸惑い
「本当にそのような考え方ができるのだろうか。」と
思いました。
部長は、私の顔を見て「法律構成を言うならば、
強制執行免脱特約付金銭消費貸借契約ということに
なるのだろう。」と教えてくれました。
私は、「本当にそうなのか。」と疑問に思いつつもそのような
構成もあるのだろうと思いました。

 

後期修習で司法研修所に戻った私は、ある時
民事弁護の起案の問題をみたら、
まさしく部長が解説してくれたのと同様の事案でした。
私は、部長の考え通り強制執行免脱特約付金銭消費貸借契約
との起案をしました。
起案の講評において、民事弁護の教官は私の顔を見て
笑いながら「強制執行免脱特約付金銭消費貸借契約ですね。」と
言いいました。
たぶん、500人を超す修習生の起案の中で、
「強制執行免脱特約付の起案」をしたのは、
私だけだったろうと思っています。
少なくても、民事弁護の教官の私の起案に対する評価は
極めて高かったと思っています。

 

ところで、最近十分な審理の無いままに結論を急ぐ裁判官が多いと思います。
私は、その裁判官に部長のように
「何故そうなるのか。」
の説明をしてもらいたいといつも思います。
私の中でも、不完全燃焼は高まる一方です。

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