COLUMN弁護士コラム

2021.02.03

交通事故紛争処理センターの変遷

最近しばらくぶり交通事故紛争処理センターに示談斡旋を申立てた。

私もかつて4年ほど示談斡旋弁護士だった事もあったので斡旋弁護士は、比較的被害者側の立場で対応するものだと思っていた。

 

しかしながら、1件目の申立の時対応した弁護士は、保険会社の担当者と談笑する声だけが聞こえて、申立人の訴えなど正面から取り上げようとしなかった。私は、その示談斡旋弁護士に不成立にすると告げるとその弁護士は、驚いたような顔をした。私は、その示談斡旋弁護士が自分の対応に不信感を抱かれていることにも気付いていなかったのだと実感した。

 

もう1件の申立は、小さな物損事故であった。

しかしながら、斡旋弁護士の部屋にいる入った途端、その示談斡旋弁護士は、私の依頼者である申立人に 「何をやっている!」とどなり、睨みつけて来た。私は、それを見て何の話だと思ったが、私の依頼者は、驚いてしまって何も話せなくなってしまった。私は、私の依頼者が紛争処理センターがそのような恐ろしいところであると思われたくないから、その示談斡旋弁護士の対応を叱責した。

 

示談斡旋は、話し合いによるトラブルの解決の場であり、斡旋弁護士の考えを押し付ける場ではない。申立人の言い分を聞かずに相手方である保険会社の言い分しか聞かない示談斡旋弁護士の対応は、決して許されない。そのような示談斡旋弁護士の示談案など受け入れるわけがなく、示談案を受け入れずに審査員による審査を申し立てた。

 

しかしながら開催された審査会は、全くの茶番であった。初めから、斡旋弁護士の態度を問題とせずに、私が斡旋弁護士を叱責した事だけを非難する斡旋であった。

何故なら、審査会は、相手方保険会社が証拠を偽造してきても全く問題にしなかった上に審査員の説明に反論しようとすると、声を上げて有無を言わせない態度で発言を遮った。

 

このような事からすると交通事故紛争処理センター設立当時の弁護士による交通事故の被害者の救済という気風は消え失せ、交通事故紛争処理センターの権威の保持に汲々とする組織になってしまったようである。

翻って考えると現在の交通事故紛争処理センターの仙台支部長は、真実追及より裁判組織、ないし同僚裁判官のフォローを第1とする裁判官出身者である事も交通事故紛争処理センターの変遷に大きく関わっているのかもしれない。

 

私の依頼者は、2度と交通事故紛争処理センターの示談斡旋を利用することはないし、交通事故紛争処理センターを勧めることもない。そのような交通事故紛争処理センターの運営しかできないのは、弁護士の責任である。

オランダの堤防の例えは、小さな亀裂から堤防が崩壊したという話だったと思う。

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